万年筆はさまざまな部品で構成されていますが、その呼称は、メーカーによって異なることもあります。
当店が、サイト内などで表記している呼称と、各社が採用している部品名についてご紹介します。
当サイトをご高覧頂くときの参考にして下さい。

当店の部品名呼称と、各社対照表

masahiro
万年筆製作所
JIS規格
パイロット
セーラー
プラチナ
日本輸入
筆記具協会
キャップ
関係
キャップ
キャップ
さやまたはキャップ
キャップ
完成キャップ
(キャップ)
*1
(言及無し)
頭冠
蓋栓
天冠
天ビス
クリップ
キャップ本体
キャップ
キャップ
チューブ
ペン先・
首関係
ペン先
ペン先
+ペンポイント
+切り割
ペン(またはペン先)
+ジューム
ペン先
+玉溶接部
ペン先
ペン先(ニブ)
ペン芯
ペンしん
ペン芯
首+金属コネクター
大先
カバー
+中ねじ
首軸
軸関係
軸(胴)
胴軸
*1
(言及無し)
尾栓
尾冠
尻ビス
後部つまみ
尾栓*2
(不明)
尻軸
消耗品
関係
カートリッジ
カートリッジインク*3
カートリッジ
インク*4
スペアーインク
カートリッジ
インク
コンバーター
(言及無し)
コンバーター
インク吸入器
コンバーター
コンバーター
(万年筆用吸入具)
コンバーター
(吸入器)
瓶インク
インク
ボトルインク
瓶インク
ボトルインク

太字は、アッセンブリー(鞘や軸完成品)での名称
*1 当店の商品はキャップや軸の先端部品が無い一体構造のため、名称もありません。
*2 この行は、吸入タイプなどで、尻が可動する部品を想定した名称
*3 パイロットでは、以前は「スペアーインク」と呼んでいました。
*4 手許にあるセーラー万年筆の社史を読みますと、以前はセーラーでも「インク」と呼んでいたことがわかります。ただ、セーラーではスペアと呼んでいた時期は無かったようで、同書には、カートリッジ式という表記が見られます。

そもそも、「万年筆」とは

そもそも、万年筆とはどのようなものなのでしょうか。
どのような品物が万年筆なのか、万年筆と呼べるためには、どのような要件が必要か、万年筆の定義についてご説明します。
この点、万年筆のJIS規格では、万年筆を、
「胴内に保有するインクがペン先に自動的に伝わる機構をもつ」ものとしています。
この定義からは、ペン先がどのようなものを意味するかにもよりますが、ボールペンや、インクを補給できない万年筆状の製品(パイロットVペンなど)も万年筆ということになってしまいます。
JIS規格のこの表現は、万年筆を正確に定義しようとして記載された訳ではないので、このような表現でも仕方ないと思います。

当店では、万年筆の定義には、
・他の筆記用具と明確に区別できるだけの要件をそなえる
・他の筆記用具にはない万年筆の特徴を盛り込む
ことが必要と考えています。

万年筆の定義(要件)

当店では万年筆を、

先端にイリドスミン合金が装着された、1本または2本の切り割りがある、金その他合金(ステンレスなど)の金属製ペン先を装着し、
軸内に容易に補給できる仕組みのもとインクを貯蔵でき、
ペン先が紙と接触する際、溝による毛細管現象を利用して、軸内のインクが間断なく紙上に流出することにより筆記する、
筆記用具

と定義しています。
溝による毛細管現象とは、フエルト等による毛細管現象ではなく、側溝のような溝をインクが伝わることにより軸内のインクを供給することをいいます。
万年筆の中には、定義の中の、「軸内のインクが間断なく紙上に流出しない」ものもあります。つまり軸を振らないとインクが出てこない、「軸内のインクが間断なく紙上に流出」しないものです。
このようなものは万年筆とは呼べず、「死んだ万年筆」と呼ばれていました。

「万年筆」の読み方

万年筆は、「まんねんひつ」と発音しますが、かつて、「まんねんふで」と発音していた時期もあったのです。

まんねんふで
明治期、「まんねんひつ」が一般化する前に用いた語。

『広辞苑』(岩波書店,第七版,2018)