masahiro万年筆製作所の製造する商品の軸形状は、以下の種類を製作しております。
形状は、太さ長さなど、あらゆるサイズのものを試作し、万年筆を使用してきた経験をもとに、ベストな形状を作りあげたものです。

基本的な軸設計基準

以下の基準で軸形状を形成しております。
●筆記時、キャップを軸後ろに装着出来るようになっています。
●軸後ろに装着したとき、キャップ内部と軸後部が2点で接触させ、キャップがガタつくことがないように、筆記時容易に外れることがないようにしてあります。
●キャップ内部にしっかりと浅く入るため、筆記時の全長を確保するためキャップを軸後ろに装着するとき、軸全長は割と短くて済みます。
●軸後ろに装着したときに、浅く入るため、仮にキャップ内部がインクで汚れていたとしても、軸後ろに後ろのインクが付着することが少ないです。
●ひび割れなどが起きぬよう、各パーツの肉厚を確保しています。

軸端形状について

キャップ先端と、軸後部先端の形状のことです。
以下の2種類がございます。

F形 フラットな標準スタイル

型番の軸太さ数字の後にRと表記されていないものがF形です。
masahiro万年筆製作所製品の基本形状で、キャップの上端は緩やかな凸レンズ状、軸の後端は平らで、周囲にやや大きめの面(C面=45度の平らな面)が取ってあります。

軸後端が平らなので、机上など平坦なところに立って自立します。自立するので、M形吸入方式で、首を開けてスポイトで軸内にインクを入れるときに便利です。
とはいえ、不安定さは避けられないので、立てて置くことはおすすめしません。
この形状だけを見て当店の商品と区別でき、当店の商品らしい、と評価頂いている形状です。
後部つまみを軸から独立させたデザインの、M形吸入方式にもっとも似合う形状です。
M形吸入方式万年筆・ボールペンはこの形状で商品を製作しております。

ご好評のF形

F形形状は、当初の想像以上に高く評価頂いております。
誰もが知る商品のパッケージデザインを手がけられたデザイナーの方からは、キャップの形状が「和を感じるデザイン」と評価して下さったことがあります。
また、当店の商品をお求め下さったお客様からは、F形には、「精度の高さ、技術面のシャープさのようなものが表現されて」いる、と評価して下さいました。
F形は、当店が創業した初期に作り出した形状で、細部は少しずつ進化させているものの、基本コンセプトに変化はありません。
長くご愛顧頂き、とても感謝しております。

R形 丸いスタイル

型番の軸太さ数字の後にRを付して区別します。

軸とキャップの両端が丸い形状です。
丸く、角がありません。蚕の繭を想起させるような優しい形状です。

軸後端が丸いので、机上などに立てることはできません。
角が丸いため、キャップを軸後部に装着するとき、軸後部へ非常にスムーズに装着できます。
M形吸入方式の特注品を、この形状で製作しております。
後掲の作例画像をご参照ください。

R形についての考察

軸とキャップの先端が丸いデザインの万年筆は、各社から販売されております。
この形状の万年筆が製作されてきた歴史も古く、伝統的に、「バランス型」と呼ばれる形状で生産されてきました。
この点、この丸い形状について、どこも似たり寄ったりの形状であるというように言われることがあります。
しかし、キャップや軸本体の形状のみならず、丸い部分の形状には、メーカーごとの個性が表れています。
最近の量産品は、削り加工を施す軸でも、数値制御の旋盤で、丸み(アール)を数値化して形作っております。このため、設計によっては丸みの連続性に違和感があることもあります。
当店では、こけしの頭を削るように、すべてハンドメイドで形作り、形状の寸法は専用ケージを用いて厳格に測定し、商品ごとにばらつきが出ないように心がけております。
軸後部にキャップが装着される仕組み、すなわち、キャップ内部と軸後部のどの部分が接触して固定されるか、と言う点も全く違います。
丸い形状に目が行くと、どれも似ているように見えますが、よく見ると個性にあふれております。

M形吸入方式のR形

以下はパープルマーブルエボナイトで製作した、M形吸入方式のR形(特注品)となります。

模様を揃える

この商品は、後部つまみと軸との間に段差がないため、模様が揃うのが理想です。
揃えるためには、ねじ切りに独特の工夫が必要です。
以下のように模様を揃えて製作することができています。
ぴったり閉めると、継ぎ目(後部を拡大した画像の矢印部分が継ぎ目)がまったくわかりません。