描線が万年筆によるものかを判別する方法

描線が万年筆によるものかは、ある程度は判別可能です。
特に油性ボールペンの場合、書き始めに、かならずインクが乗らないところがあります。
書き始めのボールが当たった瞬間、ボール表面にはインクが付着していないので、以下のような筆跡となります。

また、白黒コピーを取ると、万年筆で書いた場合は、独特の濃淡が白黒の濃さで表現されます。
ただし、黒い濃いインクではわかりませんし、描線も、昨今のゲルインクボールペンではわかりにくいこともあります。

使用しない時、吸入タイプ万年筆やコンバーターの場合、水を吸入して置いた方が良いのか

水道水の塩素がパッキンを傷めることが知られておりますし、水を入れておくメリットはほとんど無いため、水を入れて保管頂く必要は無いと考えます。
実際、市販の商品も、流通過程では軸内部に水が入らない状態で保管されていますので、水を入れて頂く必要は無いです。
水を入れて保管するよりも、常にお使い頂くほうがベストです。

コルクをパッキンに使っている商品だけは水分が必須

なお、従来のコルクをパッキンに使っている商品だけは、軸に水を入れて、常にコルクに水分が接触する状態にしておいて下さい。なお、現在の市販品に、コルクをパッキンに使用した商品は、まずありません。
コルクは乾燥してくるとパッキンとしての性能が悪くなってくるからです。ワインの瓶を寝かせて保管するのと同じ理由です。
コルクに与えられている水分によってコルクにカビが生えることがありますが、これは仕方ないです。
この点でも、水よりインクのほうが、添加剤によってカビの防止を期待できますので、常に使用するのがベストです。

納品直後は書き味がとてもよかったが、すぐに書き味が悪くなってしまった

このような場合、過度な筆圧や書き癖でペン先先端が変形してしまったことが原因であることがほとんどです。
特に、持ち主の方以外の方がお使いになって、悪化させてしまうケースがとても多いです。
納品直後、ご家族の皆様等、複数の方でお使いになり、変形してしまうことがあります。
当店納品の商品の場合、お送りする直前、ペン先の状態をかなり時間をかけて最終チェックしてお送りしておりますので、変形している状態でお届けすることはありません。
万年筆は他の人にはお貸しにならないことです。
原因が変形である場合も、修正可能なことがほとんどです。
また、持ち主の方の筆圧がペン先に向かない位強く変形してしまうこともあります。
万年筆は、軽い筆圧でお書きになれば、どの商品も問題なくお使い頂くことが出来ます。

ペン芯に付着したインクは洗わない方が良いのか

●万年筆を使い始めた直後は、ペン芯にインクがなじんでいないため出が悪い
●ペン芯インクがなじむとペン芯のインク供給能力が向上する
●一度ペン芯に付着したインクは、ペン芯になじむので、ペン芯に付着したインクを完全に洗い流さないほうがよい。洗い流すとせっかくなじんだインクが除去されて、出が悪くなってしまう

このようなことがいわれることがあります。
インクを頻繁に変えることは良くありませんが、ペン芯に付着したインクを除去してもまったく問題ありません。
もし、インクでなじまないと出が悪くなるペン芯があるとしたら、ペン芯の設計の方に問題があります。
確かに、ペン芯にインクを通す場合、一度溝に完全にインクが通った状態でないと、溝にインクが流れにくいです。それでも、一度通ればじゅうぶんであり、長くインクに浸けておく必要はありませんし、一回さっと通るだけでじゅうぶんです。
一度溝に完全にインクが通った状態でないと、溝にたまりにくいことから、別ページでご説明させて頂いたように、当店のM形吸入方式万年筆は、一度インクを吸入することにより、首内部を含めた溝に一度インクを通して頂くことをおすすめしております。
ペン芯は、設計によって、インク出が激変し、中にはボトルネック気味抑制気味になっているペン芯もあります。出ることは出るし、決して流量は少なくないが、なんだか少なめというペン芯もあります。この、出の微妙な違いは、ペン芯のごくわずかの寸法の違いによって起きるもので、驚くほど微妙な寸法の元で大きな差が出るのです。
確かに、お求めになった万年筆のペン芯がボトルネック気味だった場合、インクに徹底的に浸せば良くなるようにみえるかもしれませんが、もともとのペン芯の流量が変わるわけではありません。

首の先端にインクが付着し、拭き取ってもいつまでも付着する場合

このような場合、キャップの中も汚れていて、キャップ開閉のたびにキャップ内部に付着しているインクが首についてしまうことが原因です。
首のみではなく、キャップの中も洗浄して頂く必要があります。
キャップの中は、濡らした綿棒でこすったりすることによって洗浄して下さい。
masahiro万年筆製作所製品はキャップ内はシーリングされているため、キャップ内部に静かに直接水を入れてこぼすような方法で水を流し込んで洗って頂いて構いませんが、他社製品は、水を直接流し込んで洗わず、綿棒等でこする程度にとどめて下さい。
詳細は、お手入れ方法についてをご覧下さい。