必須とまではいきませんが、知っておくと良い、ご使用のコツや参考情報をご紹介します。

ねじキャップの開閉

キャップの開閉は、キャップの方を回すのでは無く、キャップは固定し、軸の方を回すようにすると、操作が容易です。

キャップ開閉のコツとしては、キャップを回さず、軸のもっとも細い部分を指先で手早く回すのが良いです。
キャップの方を回すと、クリップが邪魔になり、何回か持ち変えて回さなくてはなりません。
それよりも、上記のように軸、なかでも軸最後部を回すほうが、手早く開閉できます。
具体的には右利きの方の場合は、左手でキャップを持ち、軸最後部などを、右手の人差し指・親指・中指などで手早く回します。
この方法で開閉すればきわめて早く開閉することができますので、お試し下さい。
最細部は、径が小さいので円周が短いことにより、手早く回すことができるのです。

キャップの方を回すと、クリップが邪魔になり、何回か持ち変えて回さなくてはなりません。
具体的には右利きの方の場合は、左手でキャップを持ち、軸を、右手の人差し指・親指・中指などで手早く回します。
この方法で開閉すればきわめて早く開閉することができますので、お試し下さい。
さらに申しますと、軸の回す部分は、軸最後部のもっとも細い部分を指でつまんで回すと素早く回せます。最細部は、径が小さいので円周が短いからです。とはいえ、実際回すためにつまむ部分は、軸中央部分でじゅうぶんです。

キャップを閉じるときは、キャップをかぶせて、軸のオスねじとキャップのメスねじが当たった状態から右に回してキャップをねじ締めて下さい。
オスねじとメスねじが当たった状態からねじ締めて頂ければ、ねじのかみ合いがスムーズです。
当店の商品ならば、キャップは、きつめに締めて頂いても大丈夫です。

 

パチンとはまるキャップの開閉

真っ直ぐかぶせて、最後にパチンという音がして閉まるタイプのキャップがあります。
落し込み嵌合タイプと呼ばれるキャップで、安価なものから中ランクの万年筆に採用されていることが多く、パイロットの商品名では、デラックス漆やレグノ89Sなどで見ることができます。嵌合とは、「はまる」ことです。
このようなタイプのキャップは、最後の食いつきで閉まるため、携帯時(使用しないとき)不用意にキャップが外れにくいといった特徴があります。
一方で、しまり具合が固いために、キャップを引き抜くときに、強く引き抜きすぎて、ペン先先端をキャップ内壁に当ててペン先を傷めたり、勢いよくキャップを開けてしまったことによりインクが飛び散る場合があります。
この種のキャップは、開けるコツがあります。
右利きの方の場合、キャップを左手の人差し指と親指でつかみ、キャップ全体を左手の残り3本の指で包み込むように持ちます。軸の方も、右手の人差し指と親指でつかみ、軸後部を薬指の付け根あたりにくるように持ち、全体的にすべての指で包み込むように持ちます。
上記の状態で、左手が右手を覆うようにして指と手全体で包み込みながら、右手をキャップを引き抜く上方向に力を加えます。ゆっくりと着実にキャップのパチンとはまった「はめあい」解除する感じです。パチンと音がしてキャップの勘合が外れる直後まで外します。あくまでも、パチンという勘合が解除した直後までで結構です。
これで、キャップの嵌合は外れましたので、キャップ本体をおだやかに静かに外すことができます。
固くはまった最後のパチンを手で包み込みながらゆっくりと外すようなイメージです。

これは、日本刀の「鯉口 (こいくち) を切る」動作と同じなのです。一気に外さないで、パチンという勘合が外れるところまでゆるめ、そのあと穏やかにキャップを外すという二段階の動作となります。
ボールペンなどは、強く引き抜いて頂いても、万年筆ほど傷むことは少ないと思いますが、やはり、上記のように、鯉口を切るような動作をして頂くほうが上品と思います。

筆記時のキャップ

筆記時、キャップは、軸の後ろに装着してください。
適切に設計された万年筆は、キャップが軸後ろに装着できる設計になっています。
軸後ろにキャップを装着した場合、軸が長すぎたりバランスが悪かったり、質量が重くなりすぎたりして使いにくいような場合でない限り、軸後部に装着して使うほうがメリットが多いです。
軸単体では、机上で転がってしまう可能性がありますが、軸の後ろにキャップを取り付ければ、キャップのクリップが回転止めとなって、机上で転がることがありません。
キャップを軸の後ろに装着するときは、ペン先とクリップが揃うように取り付けてください。
当店の商品も、キャップを軸後ろに装着してお使い頂くように出来ており、装着したとき容易にゆるまないように配慮しております。キャップを後ろに装着した状態を前提として、軸の質量やバランスを考慮しています。

長時間筆記する場合の軸に対する印象について

現代において、万年筆で長時間筆記されることはあまり無いと思います。
masahiro万年筆製作所の代表者は、若いとき、何時間も万年筆を握って筆記することが頻繁にありました。
現在、このサイトを製作するために、長時間キーボードを打ち続けていますが、当時は万年筆で筆記していたものです。
いまでは、万年筆で筆記されるとしても、短い文章や便箋1枚程度の筆記量であることも少なくないと思います。
筆記量が少ないと、軸の使い勝手はあまり気になりませんが、長時間使っていると、短時間の筆記ではわからない軸の保持加減が見え、印象がガラッと変わることがあります。
店頭でのちょっとした試し書きでは、長時間使い続けたときの手の様子を再現することはできません。
当店の商品は、実際、長時間使って、好印象な設計にしておりますが、お求め頂いた皆様のお手元でも好印象に思って頂ければうれしいです。

瓶インクを使った万年筆の吸入小技

瓶インクを使ってインクを吸入する場合、瓶の底にペン先を当ててしまうことが良くあります。
この点、パイロットのINK-70にはこのようなことが起きないよう、首の端面を受けるアダプターが瓶の中に入っております。瓶インクの残量が少ない場合も、蓋をして瓶を逆さにすると、アダプターの中にインクが入ることにより、少しでも安定して吸えるようになっています。
しかし、このようなアダプターが通常のインク瓶でも、瓶の底にペン先を当てないようにして吸入する小技があります。
右利きの方の場合、インク瓶自体を左手の人差し指と親指以外のすべてで、瓶の、ねじから下を包み込むようにして持ちます。
左手の人差し指と親指で、インク瓶の中にペン先を漬けた軸を保持します。その状態で吸入動作を行って頂きます。
左手でインク瓶と軸の両方をしっかりと保持することにより、軸が不用意に下に当たることはありません。
この動作は、直線的に強く動作する、パイロットカスタム823などのプランジャー式で特に有用です。
瓶を机上に置いて、瓶を保持せずに、軸を宙に浮かせたような状態で保持すると、軸が上下方向に安定しませんし、瓶を倒す恐れがあります。

パイロットの空カートリッジは便利

パイロットのカートリッジは、酒樽の蓋のような構造になっております。インクが無くなったカートリッジから、入口に入っている蓋をピンセットで除去して頂ければ、空カートリッジを作ることができます。
蓋さえとれば、中を流水で簡単に洗うことができますし、スポイト(一般的なものでOK)でインクを入れることもできます。
入口の径が大きいので、このようなことも、極めて容易に可能なのです。
空カートリッジにインクを入れてご使用いただけば、コンバーターよりも便利です。
現状、空カートリッジ入れ替えの方法が、瓶のインクを最後まで使え、ランニングコストで一番有利な方法です。
空カートリッジに入れ替えるのは、奇抜な方法と思われるかもしれませんが、メーカーが展示会などの大量筆記される際に行っている方法ですし、懐かしいロットリングやステッドラーの製図ペンは皆この方式でインクを入れますので、まったく問題ありません。
また、パイロットのカートリッジ構造は、抜き差しを繰り返しても、入口が弱くなることは無いです。
新品のカートリッジを装着するとき、インクを押し出すために、横腹を押したりした場合は、横腹にヒビが入ることがあります。横腹が押されたことがあるカートリッジの場合は、ヒビが入ってインクが漏れる恐れがあるため、空カートリッジとしてはお使いいただけません。
キャップレスには空カートリッジが装着されておりますが、ご使用までの間、位置決めのために装着されております。カートリッジが装着されないと、内部筆記体の長さが確保されず、軸の中で動いてしまうからです。この空カートリッジは、初めから蓋が装着されていないので、空カートリッジとして、スポイトでインクを入れてご使用頂けます。

インクによって書き味は変わります

同じ万年筆でも、インクによって書き味が違った印象になることがあります。
軟らかいペン先で、インクの出具合が多めで、長い期間書き続けて書き味をよくご存じのご愛用の場合、結構わかるものです。
紙ににじみやすいインクからにじみにくいインクに変えた場合、ペン先が硬く感じます。
硬いペン先だったり、その万年筆をお使いになってあまり時間が経過していない場合、ご使用になる紙が特定されていない場合、インクによる書き味の違いはわかりにくいです。
極端には変わりませんし、お気づきになることが少ないかもしれませんが、インクによって違った印象になることが現実にあります。
当店では、パイロットの ブルー/ブルーブラック/ブラック このいずれかのインクをおすすめしております。
上記3色は、非常におすすめ出来るインクで、群を抜いて優れたインクです。